2006/10  金融教育研究 「生きる力を育てる金融教育」

 本校では,2004年度〜2006年度金融教育研究「生きる力を育てる金融教育」に取り組んできました。

 2006年10月6日,授業公開並びに実践報告会として3年間の研究のようすを発表しました。
 実践報告会には,香川県金融広報委員会の皆様,金融広報アドバイザー,近隣の教員の皆様のご参加・ご指導をいただきました。
 お忙しい中,ご参加いただきありがとうございました。

 作成したリーフレット,報告会のプレゼンテーションを再構成してお知らせします。

(はじめに)
 私たちの日常生活において,お金は切っても切れない関係にあります。
 それだけに児童には,早いうちから金銭感覚を育成することが重要だと考えます。
 さらに最近では,「お金を使う」「お金を貯める」「お金を借りる」という
  それぞれの場面で,さまざまなリスクやトラブルが発生することも少なくない状況にも
  なってきています。
 こうした事情を背景に,本校では,金融教育がキャリア教育や環境教育など,
  さまざまな教育活動と多様な接点をもった分野と位置づけ,全教育課程と関連づけた
  指導を試みております。
 さらには,家庭・地域とも連携を図り,実践に向かう力の育成にも取り組んでいます。
 体験的な活動を重視し,金融に関する知識を獲得するにとどまることなく,
  現実や将来を幸せに生きるための確かな力を培いたいと考え,取り組んできました。

(研究について)
 私たちの日常生活において,お金は切っても切れない関係にあります。
 それだけに児童には,早いうちから金銭感覚を育成することが重要と考えます。
 そこで、本校では、金融教育を中心として生きる力を育てるために,
  ○ お金や労働の価値を知る子ども
  ○ 健全な金銭感覚を持った子ども
  ○ 感謝と自立の心を持った子ども 
 の育成をねらいとして,取り組んで参りました。

(私たちの願い)
【家庭の願い】 家族のためにお金が使える子に(お金でトラブルを起こさない子に)
【学校の願い】 豊かな金銭感覚を養う 〜お金を大事にし有効に使える子に〜
【地域の願い】 地域を愛する子に(地域を豊かにする子に)

 最近では,「お金を使う」「お金を貯める」「お金を借りる」というそれぞれの場面で,
  さまざまなリスクやトラブルが発生することも少なくない状況にもなってきています。
 金融教育を進めるに当たっては,学校だけではなく,家庭・地域の連携を図ることが
  必要です。
 また,学校・家庭・地域がそれぞれの役割を明確にして役割を果たすことも大切に
  しなければなりません。

(金融教育の位置づけ)
【金銭教育的視点】 「物やお金を大切にすることを通じて,正しい金銭感覚を養うこと」
【経済教育的視点】 「経済・記入の仕組みや機能を理解すること」
【生活設計的視点】 「家計の収入や支出内容を把握し,将来の生活設計力を
                                           身につけること」
【消費者教育的視点】 「各種の金融トラブルの未然防止や事後対応力を養うこと」
【キャリア教育的視点】 「労働体験を通じて勤労の意味を理解し,
                                将来の職業選択等に生かすこと」
 (引用資料)「金融教育ガイドブック」(金融広報中央委員会)

 そこで,学校では,金融教育がキャリア教育や環境教育など,さまざまな教育活動と
  多様な接点をもった分野と位置付け,全教育課程と関連付けた指導を試みて
  きました。
 授業における非日常的指導から,学校生活全般へ,さらには,家庭・地域での
  生活へと広がりが必要ですので,その流れに添って,事例をいくつか紹介します。

(事例紹介)

1 総合的な学習の時間 「お金の価値を知る消費者体験」

 授業を中心にした体験と実感を大切にした取り組みです。

 3年生の総合的な学習の時間では,「お金の価値を知る」
  ために,スーパーマーケットに出かけ,300円という
  範囲内で自分にとって最高のおやつを選んで買う,
  という消費者体験を行いました。


2 社会科 「育てることから学ぶ経済」

 5年生の社会科では,総合的な学習の時間や家庭科と
  関連づけながら,稲を育て,収穫し,食するという体験を
  通して,経済の仕組みを学んでいきました。

 米作りの体験から,売るための商品化の難しさや農家の
  苦労を実感しました。


3 家庭科 「食生活と結ぶ消費」

 6年生の家庭科では,家族の喜ぶ朝食づくりの学習を
  通して,毎日の食生活における食品の安全性や
  栄養バランスを考えた食材の選び方・買い方を体験し,
  家庭でも実践しました。




4 生活単元 「遊びを通したお金儲けの体験」

 合同学年では,生活単元学習の中で,お祭りごっこの
  遊びをしながら,学校にある銀杏を集めて袋詰めし,
  お店を開くことで,売る楽しさや買う楽しさを実感する
  ことができました。




5 「お金の知識を広げるビデオ視聴」

 全校生でお金の働きについて知ったり,お金やものの
  大切さを考えたりするビデオ視聴をしました。
 視聴しながら,自分の生活を振り返り,
  無駄遣いをやめる・
  物を粗末にしない・
  保護者の労働に感謝する等の態度や
  税の仕組み・銀行の役割等について理解しました。

6 「PTAと取り組むベルマーク収集」
 家庭や地域との連携としては,本校が長年取り組んできた
  ベルマーク収集があります。
 その収益金で,平成16年度にはグランドピアノを購入し,
  ロシアの演奏家を招いてコンサートを開いたり,
  授業や特別クラブで活用したりしました。
 そのことにより,地域や保護者への感謝の気持ちや,
  物を大切にし,活用していこうとする心の高揚を図る
  ことができました。

7 「家庭・地域と共に育てる場の設定」

 学級PTAでも,家庭でのおこづかいの与え方や
  使い方について話し合い,保護者の金融意識の
  高揚を図り,自覚を高めることができました。





8 「役立つ喜びを味わう募金活動」
  子どもたちが中心になって呼びかける活動も,盛んになってきました。
  児童会が行った募金活動では,募金の意義の周知,集める工夫,
   集めたお金を手渡す等の直接体験を通して,みんなで力を合わせることの
   大切さやお金で人から感謝されることの喜びを実感しました。
  
9 「資源の有効活用を呼びかけるボランティア委員会の活動」
   
  平成18年度は、アルミ缶回収活動を重点として取り上げ,
    キャリア教育の年間計画とも関連づけながら進めています。
  ボランティア委員会が中心となって,資源の有効活用を呼びかけました。
  活動を活性化するために,収益金の一部を学級に返す活動も取り入れました。

       
  具体的なグラフや実物のアルミ缶とも結びつけて考えられるよう,
   全校朝会で発表しました。
  これらの活動を通して,お金の価値や使い道,労働とお金の関連,
   労働体験と自分たちの家族の勤労のたいへんさを学んでいます。

        

10 「お金で結ぶアルミ缶・食器大切運動」

 また,アルミ缶リサイクルの収益と,
  給食の食器が破損していっている状況から,
  食器1枚分の価,1枚1000円ということですが,
  お金と関連づけて考えさせることで,1円収集の
  困難さと価値,さらには物を大切にすることを実感
  しました。



11 児童・保護者の反応
 このような取り組みからでてきた,子どもの声や保護者の方の声を紹介します。
 3年間におけるビデオ視聴後の感想文からは,
  ・物やお金を大切にすることの重要性,
  ・健全な生活習慣を身に付ける必要性,
  ・お金を得ることや蓄えることの難しさやお金に替えがたい人の心の温かさ
 等の知識を得たことが伺えました。

 特に本年度は,「銀行の仕組みについて」のビデオ視聴で,
  昨年度までの金融に関する知識面としての課題であった銀行の仕組み,
  また税金に対する知識が高まったこともアンケートから読み取ることができました。
 ---------
 (児童の反応)
  私はお金についてのビデオを見て,カードにはいろいろな種類があるのに
   びっくりしました。
  私はお金の使い方によって不幸になったり,幸せになったりすると思います。
  だから,もらったりごほうびなどでくれた物は,こつこつ貯めて必要な物だけを買い,
   さらに地球環境も大切にしていきたいです。

 また,3年生のスーパー体験学習のワークシートには,初めての計画的な
  買い物体験成功のうれしさと,その必要性が感想文に書かれていました。
 そして,家庭に帰ってからも,それを家族に伝えています。
 さらに,家族からもその成功をほめられる言葉をかけられることにより,
  一層お金を大切に使おう,考えて使おうといった金銭感覚が育っていきました。